LIFE LOBrick Smithのレゴ日記

スミスのLEGO制作記

レゴでいろいろ作ってく

アーキテクチャとは

最近、私がどハマりしてあるシリーズ「LEGO Architecture」

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「Architecture」とは英語で「建築」を意味し、その名の通り世界の有名な建築物な都市の街並みを再現したシリーズです。

今回はそんなアーキテクチャの誕生と製品開発におけるデザイナーの工夫についての紹介です。


アーキテクチャには3つのシリーズがあります。

・ランドマークシリーズ

世界各国のランドマーク的な建造物を再現したシリーズです。

「21019 エッフェル塔」や「21046 エンパイア・ステート・ビル」などがあります。

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・建築家シリーズ

特定の建築家の建物を再現したシリーズでフランスの建築家ル・コルビュジエアメリカの建築家フランク・ロイド・ライトの作品などがあります。

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スカイラインシリーズ

世界各国の都市の景観を再現したシリーズでその都市の象徴的な建造物が5〜7個ほど再現されています。

「21028 ニューヨーク」や「21039 上海」「21051 東京」などがあります。

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アーキテクチャの始まり

アーキテクチャシリーズはLEGO社とアメリカの建築家アダム・リード・タッカーさんの出会いから始まります。

タッカーさんは主に住宅を手がける建築家でした。しかし、2001年に発生したアメリカ同時多発テロ事件の影響でエンパイア・ステート・ビルなど有名な建築物の観光客やテナントが激減していると知ると「本来、超高層ビルは人類の偉業とも言えるべきもの、讃えられるべきものであって、恐怖の対象となるべきではない」と考え、一般の人にも建造物の魅了を伝えたいとレゴを使って高層ビルを再現しようとします。

早速、近所のおもちゃ屋さんでカート13台分ものレゴを購入すると、約5000個ものブロックを使って1.8mもあるウィリス・タワーを完成させます。

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タッカー氏とレゴによる超高層ビル

(出展:https://www.learningliftoff.com/


レゴ社との出会い

その後もタッカーさんは数々の高層ビルを制作し、その作品はAFOL(大人のレゴファン)の主催する展示会で展示されます。

そこで偶然、製品の共同開発協力者を探していたLEGO社と出会い、アーキテクチャの共同開発がはじまります。


タッカーさんは手のひらサイズの試作品を制作します。そして、ただ組み立てるだけでなく、その建造物の成り立ちについても知ってもらおうと、試作品の箱には建造物の写真や設計図、設計した建築家のプロフィールが記載された冊子も同封しました。

そして、2008年。試作品は採用され「一般の人にも建造物の魅力を伝えたい」というタッカーさんの想いを形にしたアーキテクチャシリーズの販売が始まります。

最初の製品にはウィリス・タワー、ジョン・ハンコック・センター、スペースニードル、エンパイア・ステート・ビルディングの4つの建造物が選ばれました。

タッカーさんは、シリーズとして販売が決まった時「世界には名所になっている建造物が、新しいものから古いものまでたくさんあります。建造物には人種や宗教、時代といった垣根はなく、アーキテクチャの可能性は無限です」と話しました。

 

最初の製品は今とは違ってシンプルな作りでした。

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これについて2017年のレゴ社のマネージャーのインタビューによると、当初のターゲットは子供の頃にレゴで遊んでいたが、今は興味を失った大人で、あえて構造が複雑にならないようにしたと言います。

その後、レゴや建築を愛する人たちが多くいることが分かり、少しずつ製品に高度な組み方を取り入れられるようになりました。

こうしたことから一度発売された製品が改良されて再び販売されたりもしました。

 

2009年発売「21004 グッゲンハイム美術館

2017年発売「21035 グッゲンハイム美術館

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たしかに再発売された方がディテールが上がっているのが分かります。

一方でアーキテクチャのデザイナーであるRokZgalin Kobeさんによると、単に外観が似ているだけでは製品として不十分だと言います。というのも、製品開発ではスケッチや平面図から建築家の心理を探るところから始まり、建築家がその建物にどのような想いを反映させているか汲み取って製品に反映させているとのこと。


こうした工夫もあって人気となったアーキテクチャシリーズ。

玩具店だけでなく、雑貨屋や美術館、大手書店など、これまでレゴを取り扱ってこなかった店でも販売されるようになりました。

LEGO社が行った調査では、購入者の約60%以上が18歳以上で自分用に購入し、約15%以上がこれまでに一度もレゴ製品を買ったことがない人だという結果が出ています。


スカイラインシリーズの誕生

2016年、世界都市の景観を再現した新しいシリーズ、スカイラインシリーズが誕生します。最初の製品には、ヴェネツィア、ベルリン、ニューヨークの三都市が選ばれました。

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レゴ社マネージャーのラースさんによると、購入層をレゴや建築を愛する人だけでなく都市を愛する人まで広げようとしたと話した上で「誰もがサヴォア邸やロビー邸を知っているわけではないが、ベルリンやニューヨーク、ロンドンなら知っている。より多くの人がセットに惹きつけられる。例えばニューヨークに行くことを夢見て、あるいは旅行の思い出として欲しくなるかもしれません」と話しました。


また、アーキテクチャのデザイナーであるRokZgalin Kobeさんによると、ただ風景を再現しているだけでなく、ストーリーも描いている場合があると言います。

例えば「21039 上海」は一見、写真スポットとして有名な外灘から見た上海の景観を再現したように見えますが、左から右へ建物が徐々に現代的なものになっている様は植民地時代から世界有数の大都市となった上海の成長を表現しているとのこと。

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このスカイラインシリーズによって、アーキテクチャシリーズはさらにファンを増やします。

ネットには建築好きだけでなく、AFOLが自身の住む都市をスカイラインシリーズの様に再現したオリジナル作品が数多くアップロードされました。


近年では、世界的なイベントに関連する建造物や都市が選ばれやすく、そのイベントの開催と同じ年に発売されるようになっています。

例えば、2020年上半期には、その年オリンピックを開催する予定だった東京が、同年の下半期には大統領選挙が行われたアメリカのホワイトハウスが製品化がされました。

2022年現在の新製品は「21057 シンガポール」と「21058 ギザの大ピラミッド」のみですが、今後どんな建造物や都市がどんな組み方で再現されるのかとても楽しみです。

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